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転勤の現実
就職活動の際「転勤することを厭わない」という条件で採用されていても、いざ転勤を命じられるとこれまで築いてきた人間関係などのコミュニティから離れることになり、転勤したくない…と躊躇ってしまう事でしょう。しかし、基本的に会社員は転勤の辞令を拒む事ができません。就業規則に転勤に関する記載があり、同意した上で入社しているのであれば会社の命令には従わなければならないのです。では実際、転職とはどのようなものなのでしょうか。
転職したくないという気持ち
せっかく今まで作り上げてきた、現在の職場での立ち位置。時には上司や部下と衝突してしまった事もあったかもしれませんが、あなたが何年間もかけて築き上げた今の立場が、振り出しに戻ってしまう事を考えると転勤したくないというのは当然の悩みと言えるでしょう。また転勤をしたくない理由はほかにもあるかと思います。あなたが転勤を受け入れられない理由は、どこにあるのでしょうか。
介護が必要な家族がいる
高齢の親や障害者の親族など、自宅に介護を必要とする家族がいるという方も少なくありません。このような方が転勤の辞令を受け入れることは家族にとっては死活問題です。場合によっては施設に預けなくてはならなくなる事も考えられます。
乳幼児や妊婦がいる
自宅に乳幼児や妊婦がいる場合も、転勤の辞令は受け入れ難いものです。たとえば妊婦の妻がいる場合、臨月になると日常生活を送るだけでも大変です。また乳幼児の子育ては大変気を遣うためパートナーに全て任せてしまえば良いという問題でもありません。近年では男女問わず育児休暇を取得しやすい環境整備が進んでいますが、十分とは言い切れず、働きながらの育児にならざるを得ない部分が存在することを考えると転勤により家庭生活が成り立たなくなる可能性もあります。
マイホームを購入した
マイホームを購入すると転勤の辞令が下るというのは、小説やドラマの中に限った話ではなく実際に起こるようです。一般に、マイホームの購入時には銀行からお金を借ります。すると、少しずつ返さなくてはならないため会社を辞めにくくなり、そこにつけ込んで転勤を迫るという手法です。せっかく大枚をはたいて夢のマイホームを手に入れたのに、住むことができないというのはもはや何のために働いているのか分からなくなってしまいますよね。
見知らぬ地に行きたくない
転勤先は自由に選べません。まったく縁もゆかりも興味もない場所に異動を命じられることもあるのが転勤です。寒さが苦手な方が北海道に異動を命じられることも、暑さに弱い方が沖縄に異動を命じられることも十分起こり得ます。更に、転勤先は日本国内とは限りません。外国に興味がある方がいる一方、苦手な方もいます。国内であればまだしも、外国は日本とルールや商慣習、生活習慣が大きく異なるため不安で心細くなるでしょう。アフリカや南米の途上国の場合、家族に万一の事が起きても帰国に丸一日以上かかる事もあります。
今の職場の居心地が良いため離れたくない
現在の職場の居心地が良いことは素晴らしい事です。しかし、長期間同じメンバーで仕事をすると互いに甘えが出てしまうため仕事が適当になったりルール違反に走ったりしてしまうことも無いとは言い切れません。現在の人間関係が円滑で、順調に仕事を進めているのに転勤の命令が下るというのは理不尽に感じるかもしれませんが会社としては必要な事なのです。
地元への愛着が強い
生まれ育った地元で、生活も仕事も完結させたいと考える方もいらっしゃるでしょう。企業によっては地元志向が歓迎され、採用の決め手となる場合もある一方、転勤の多い企業の場合に入ってしまった場合は辛いでしょう。
転勤のメリットとは
なにかと嫌がられることの多い転勤ですが、もちろんメリットもあります。中には、数年おきに繰り返される転勤を楽しんでいるツワモノもいます。否定的に捉えられがちな転勤のメリットについても説明していきますので、嫌だと思っている転勤をプラスに捉えることができないか一度考えてみてください。
心機一転できる
生活環境がガラリと変わり、公私ともに今までの人間関係やしがらみから解放されるため転勤を機に人生を見直したり、やり直したりしやすくなります。これまで親元や家族と同居していた場合は一人暮らしならではの自由を満喫できるかもしれません。転職をしたくない理由の裏返しのようになってしまいますが、捉え方によってはこのようなメリットにもなります。
その土地ならではのもの、ことが楽しめる
その土地ならではの食べ物や観光地、文化、レジャーを楽しむ事ができます。いままで全く冬のスポーツに興味が無かった方が、雪国への転勤を機にスキーを始めてハマったという話もしばしば耳にします。また転勤前であれば多額の交通費をかけなければいけなかった有名なスポットへ気軽に行ける事もあります。
慣れ親しんだ土地の良さを再認識できる
今まで当たり前すぎて気付かなかった、慣れ親しんだ土地の良さに初めて気付けるかもしれません。空気、自然環境、交通アクセス、県民性など、あらゆる違いに気付くきっかけになるでしょう。
様々な地域に知り合いが増える
新しいコミュニティに飛び込むことは勇気が要りますが、後にかけがえのない財産になります。小学校や中学校の入学式を思い出してみてください。知らない人だらけで始めのうちはとても緊張したことでしょう。ところが今思い返してみてどうでしょうか。一生ものの友人ができたことでしょう。転勤も似たようなもので、最初はストレスの方が大きいかもしれませんが転勤先で出会った人々が後に大切な友人になるかもしれません。
転勤したくない方向け!会社選びのコツ
転職のメリットを考えてもなお、転勤はしたくないという方も少なくないでしょう。そこで転勤をしたくないという方向けに、会社選びのコツをお伝えします。今回、転勤を避けるために会社を辞めるとしても、次に入る会社では同じことを繰り返したくないですよね。転勤せずに長く勤め続けるためにも、よく読んでください。
転勤や長期出張の有無を確認
応募先の会社で転勤があるかどうかは、求人票の「勤務地」欄を見ることで分かります。分からない場合は質問してみましょう。また転勤が無くとも、数か月単位で長期出張という形での事実上の転勤があるかもしれません。自分がどの程度の期間ならば許容できるのか、事前にハッキリ決めた上で確認しておきましょう。
地域限定職なども検討
近年では、転勤が無いという条件付きの正社員を募集している企業も多くなっています。転勤が無い代わりに給与や昇格においてやや不利な条件となっている場合がほとんどですが勤務地が保証されていることのメリットは大きいでしょう。地域限定職やエリア総合職など、さまざまな呼び方があります。
引っ越しを伴わない転勤なら受け入れるという選択肢も
引っ越しを伴わない転勤であるならば、受け入れるべきです。なぜならば、転勤を理由に仕事を辞め、別の会社に入るのと転勤を受け入れるのとでは、新しいコミュニティに飛び込むという点で変わりはなく、そうであるならば現在の役職や給料を引き継げた方が圧倒的に有利であるからです。たとえどんなに、今の職場の居心地が良く転勤先の雰囲気が悪いとしても、別の会社に行ったからと言って居心地の良い職場が用意されている保証はありません。
転職活動で不利にならない、退職理由の話し方
転職時の面接で必ず聞かれるのは、退職理由です。あなたの仕事への取り組み方を問う質問でもあるため、どう話すかによって採用か不採用かが決まると言っても過言ではありません。ここでは、退職理由をどのように話せばよいか解説していきます。
家庭の事情によって転勤が難しかった場合
両親の介護や幼い子供の世話などが理由で転勤が難しかった場合は、正直に話してもあまりマイナス評価になりません。転勤以外に不満が無く、辞める事が惜しかったなど働くことに関し前向きな態度を示せると尚良いでしょう。言うまでもない事ですが、転勤のない会社に応募している事が前提になります。
地元への愛着がある場合
地元に貢献したいという思いは転職理由としては好ましいでしょう。地域に根差した地元企業の場合はむしろ積極的に採用した人材のはずです。自分が生まれ育った地域への思いや、どのような形で貢献していきたいのかを具体的に示しましょう。
単純に見知らぬ地へ行きたくない場合
この場合は工夫が必要です。下手をすると「自分の気に入らないことがあったら我慢できずにすぐ投げ出す人」と思われてしまいます。転勤以外で、前の会社で自己実現できなかった点を見つけ、次の会社ではどのようにしたいのかを示す必要があります。単に今住んでいる場所の近くで働きたいというだけでは、正社員として就職することは難しいかもしれません。